存在
 私は和なしでは生きられなかった…。

 私の心の安定剤になっていた…。

 『愛美…おいで…。』

 彼はソファーでくつろぎながら、私に声を掛ける。

 呼ばれるままに脇に座ると肩に頭をもたれ掛ける。

 彼は優しく私の頭をなでながら…

 『俺の可愛い愛美…ずっとそばにいてくれ…。』

 と囁いた。

 私は彼に聞きたい事が山のようにある…。

 でも怖くて聞けない…。

 私は嫌われたくなかったし、物わかりのいい女でいたかった。

 でも心の中ではいつも…

 (あなたはいつ私だけの物になってくれるの…?)

 と繰り返し聞いていた…。
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