存在

~病院~

 病院の待合室はお腹の大きな妊婦さんが沢山いた…

 彼女達はみんな幸せそうな顔をしている…

 ガラスに映る私の顔は…

 まるで死人のようだった…

 診察してもらう…

 先生が私に…

 『お腹に赤ちゃんがいますね…でも流産しかかっています。入院した方がいいでしょう。』

 (やっぱりそうだよね…)

 『しかし…きちんとした形も出来てないしこの時期の出血ですし…入院しても駄目かもしれませんが…』

 『先生…帰ります…』

 『付き添いの旦那さんに入ってもらって…』

 否定しないうちに、存が入って来る。

 彼は一言も否定しないまま、旦那として先生の話を聞いている。
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