存在

~一人の時間を~

 『存は寂しくないの?』

 私は聞いてしまって固まった。

 (嫌な事聞いちゃったかも…)

 でも存は微笑みながら…

 『寂しくないって言ったら嘘になるけど…たぶん…今の愛美のように誰かいてくれなかったら、寂しくて死んじゃう。とは思わないよ。人はね、結局一人なんだよ。自分一人の時間も大切に出来て、楽しめないようでは…誰といても幸せにはなれないよ。俺はそう思うんだけどね…。誰かに依存して生きるんではなくて、まず自立出来たらもっと楽に生きられるんじゃないかな…。』

 『一人の時間か…』

 『今の私には無理かも…強くなりたいな…。』

 『無理して強くならなくてもいいんじゃないか?困った時や弱った時に俺の出番があるのに、要らなくなっちゃうじゃん!』

 冗談っぽく言ってるけど…

 存の心が見えた気がして切なくなった。
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