存在

~夜の仕事~

 『おはようございます。』

 『おはよ~!愛美ちゃん。今日は同伴じゃないんだね~。』

 ボーイの剛が軽やかに挨拶する。

 『うん…。さっきまで寝てたよ…。』

 『ダルいとこ悪いけど~あの団体さんとこ着いてくれる~。』

 剛が笑いながら言う。

 (あ~あ…)

 『失礼します~。』

 私は最高の笑みを浮かべながらお客さんの席に着く。

 (会社の飲み会の後かな…)

 『お~!色っぽいお姉さん来たぞ~!』

 かなり飲んできてる様子で盛り上がっている。

 (だるいなぁ~…。この席外してくれないかなぁ~…。)

 私は上の空でただ作り笑顔で話を合わせていた。

 『失礼します。愛美さん。三番テーブルご指名です。』

 剛の声に我に帰り振り向く。

 (誰だろ…今日の予約はないけどなぁ~。)

 私の顔がパッと華やぐ。

 スーツ姿のおじ様…今の私の彼だ。
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