存在
 『失礼します~。』

 私は急いで彼の側に座る。

 『どうしたの~?来るなんて言ってなかったじゃん。』

 浮かれた口調になる私…。

 『意外に仕事が早く終わったからさ…愛美の顔見たくなってね。』

 落ち着いた柔らかい声が私の心を溶かしていく。

 『ね~。今日は泊まって行けるの?』

 私はテンションが上がりっぱなしで落ち着く事ができないでいる。

 彼は一呼吸置き…

 『愛美…今日は週末だよ…』

 それ以上は何も言わない。

 (そっか…忘れてた…泊まれないよね…)

 一気に冷えていく心…

 彼は妻子持ち…

 私は愛人…

 週末は必ず独りぼっち…
< 6 / 51 >

この作品をシェア

pagetop