復讐

松岡幸蔵

生年月日：昭和２８年１０月１４日

出身：栃木県

明伸大学経済学部卒業後、同大学院に進学。大学院を卒業後は三経銀行に３年間勤務。
その後、当時の農林水産省大臣、曽我みつる氏の誘いにより、衆議院議員にる。
同氏の秘書官、副官房長官、官房長官を経て、平成１１年、４６歳という異例の若さで内閣総理大臣に就任。

しかし、任期を全うする事なく、松岡内閣は１年で解散。

家族は、銀行勤務時に知り合った、妻昌代と、息子和幸。




それを見た瞬間、安田は大きく溜息を吐いた。

その振動で、長くなった煙草の灰が彼の膝上に落ち、彼はそれを丁寧に拾い灰皿に捨てた。

「動揺してるみたいですね」

三井は、相変わらず笑みを浮かべていた。

「そりゃ、動揺もするだろ。まさか松岡和幸が、元総理の息子だったなんて」

「そうですよね。でも、やっと繋がりましたよ」

「なにがだ？」

「彼が、学生の割りに銀座で飲み歩いたり、飲酒運転を平気でする理由です。ようは、金はいくらでもあるし、父親の権力があるだけに、警察なんて怖くないんですよ」

「まぁ、そうなるな」

安田は唸った。

「で、安田さんに聞きたいんですけど、その元総理と面識はありませんか？」

「んなの、ある訳ねぇじゃねぇかよ。あったら、松岡和幸にだってすぐに気付いた筈だ」

「まぁ、そうですよね。しかし、彼は一体なぜ幸治君を狙ってるんですかね？」

「それを探るのが、お前の仕事じゃねぇのか？」

「まぁ、そうですかね」

三井はそう言うと、再び安田からノートパソコンを取り上げ、キーボードを叩きはじめた。
そして、画面に目を向けたまま安田に言った。

「じゃあ、また何か分かったら連絡しますよ」

安田は「頼むぞ」と言い、伝票をとりレジに向かった。

三井は、そんな安田を笑顔で見つめ言った。

「ごちそう様です」