甘い愛で縛りつけて


「だって、怖くて……。それに、最初はわざとじゃないかもしれないって思ったし」
「どう考えても痴漢だろ。
俺、あの電車乗り込んでおまえを探してたけど、遠目からでもあの痴漢男が興奮してんの分かったし」
「だから途中で気づいて……足を踏みつけようかと色々考えたけど、気持ち悪くて身体が動かなくて……」

あの時の事を思い出して顔をしかめると、それを見た恭ちゃんが私以上に眉を潜めた。

「あの男、やっぱりもう2、3発蹴り上げて再起不能にしてやればよかった」

そう言う恭ちゃん顔があまりに冷酷だから、放っておいたらもし再会した時本当にそうする気がして、怖くなって慌ててフォローする。

「で、でも、そんなに触られたわけじゃないから!」
「どこ触られた?」
「あ……えっと、お尻と……」

気まずくなりながらも触られた場所を報告している途中、恭ちゃんに腕を引っ張られる。
ベッドの上で胡坐をかく恭ちゃんの上に跨るように膝立ちさせられてしまって、恥ずかしくなって身体を引こうとしたけれど、腕を掴んだままの恭ちゃんがそれを許してくれない。

戸惑う私を気にするでもなく、恭ちゃんは腰に回した手でぐっと私を抱き寄せてお尻の辺りに触れる。
恭ちゃんの手に撫でられて、身体がすくんだ。

「あとどこ触られた?」
「……言いたくない。言ったら触るでしょ」


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