甘い愛で縛りつけて


決して嫌なわけじゃなかった。
だけど、どこまでも深い悲しみを潜めた瞳がすごく……すごく、痛くて。
今まで感じた事のない種類の恐怖を感じた。

それは多分、自分には受け止められるか分からないほどの感情を恭ちゃんの中に感じたから。

――私にはきっと、何もできない。
恭ちゃんの瞳に、そんな考えがよぎってしまったから。

目の前にいるのは間違いなく恭ちゃんなのに……。
今まで恭ちゃんに対して抱いた事のない感情が湧きあがる。

私を支配下に置きながら、冷たく、でもすがるように見つめる恭ちゃん。
いつもと違う様子に、少しの怖さを感じたのは確かだった。
だけど、それ以上に感じるのは……愛しさだ。

手を伸ばして、ゆっくりと恭ちゃんの頬に手を伸ばした。

「いいよ。全部受け止めるから。だから、そんな顔しないで……」

そんな悲しい顔しないで。寂しい顔しないで。
私全部で恭ちゃんを守るから。受け止めるから。

だから、ちゃんと見せて。
恭ちゃんの感情を……恭ちゃんが隠してる傷を、私にも見せて。




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