甘い愛で縛りつけて


「実紅……」

私が頬に伸ばした手を、恭ちゃんがその上から包むようにして握って……その手首に口づける。
そのまま視線だけを私に移されて、胸がトクンと跳ねた。

恭ちゃんが握っていた手をベッドに押し付ける。
両手を顔の横でそれぞれ押し付けられたと同時に、近づいた恭ちゃんに唇を塞がれた。

荒々しくて怖いくらいの熱情を感じるキスだったけれど、静かに目を閉じた。

こんな行為が恭ちゃんを癒せるなんて思わないし、受け入れたところで恭ちゃんの気持ちを救えるとも思わない。
だけど、私にできる精一杯の事だから。

恭ちゃんが望んでくれるなら、なんでも差し出したかった。

気持ちがうまく言葉で繋げないのなら、せめて私全部で恭ちゃんに伝えたかった。
分かって欲しかった。
今、私が感じている、どうにもできないほどの恭ちゃんへの想いを。

少しでも恭ちゃんに伝わる事を願いながら、何度も何度も、恭ちゃんを抱き締めた。

傷ついた顔して私を見つめる恭ちゃんを。



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