甘い愛で縛りつけて
◇「恭ちゃんの手で罰を下して」



私の名前を掠れた声で何度も呼びながら抱き締める恭ちゃんが、まるで離れるなって言っているみたいに感じた。
だから、私も同じくらいの力で抱き締め返す。

私よりも大きな恭ちゃんを、守ってあげたいって心から思った。

恭ちゃんが安心できるなら、拘束されたっていいし、好きに縛り付けていいから。

だけど、両手だけは自由にして。
恭ちゃんをいつでも抱き締められるように。

恭ちゃんの過去ごと全部を、抱き締められるように。

それが私のたったひとつの望みだから。
望みだけど……今恭ちゃんを抱き締め返す事は無理かもしれない。

体力的大問題で。

「腰が痛い。腰がっていうより、身体全部がなんかすっごく痛いし力入らない」
「それはアレか。もしかして俺のせいだとでも言いたいのか?」

ベッドの中で毛布に包まりながら言った私に、ベッドサイドに座る恭ちゃんが苦笑いしながら視線を向ける。
手元にある煙草から、白い煙が立ち上っていた。


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