甘い愛で縛りつけて


「俺には実紅がいたから。おまえの根性に、俺の狂気が負けたのかもな」
「じゃあずっと恭ちゃんを負かせられるように頑張らないと」
「……俺は一生勝ち逃げされるわけか」
「逃げないよ。隣にいるんだから」

あげ足を取った私に恭ちゃんはおかしそうに笑って……それから「そうだったな」と呟くように言い抱き締める腕に力をこめた。

逃げないよ。
私はもう、恭ちゃんに縛り付けられてるんだから。

恭ちゃんの甘く切ない愛の鎖に。

自ら望んで飛び込んだ、恭ちゃんの深く濃厚な愛の中。
出口なんかいらない。
逃げ出す道具なんかいらない。

手を伸ばせばすぐに抱き締めてくれる恭ちゃんがいてくれれば。
それ以外何もいらないから。


「ずっとだからね」
「当たり前だろ」

私を、甘い愛で縛りつけて。












「甘い愛で縛りつけて」
END








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