意地悪なキミに、スキをあげる。
意地悪なキミに、スキをあげる。





帰りのSTが終わった瞬間にダッシュで校舎を出た。




一分でも

一秒でも早く朝陽さんに会いたい。




電車の中で息を整えて、降りたらまたダッシュ。




「っ…はぁ……、着いた…っ」




朝陽さんは『構ってやれねぇけど』って言っていたけど

構ってくれなくていい。




ただ、朝陽さんに会えればそれでいいんです。




自動ドアに近づくと、静かにドアが動いた。




一歩踏み出すと、コツンとローファーの音がする。




ドキ…

ドキ。




いた。




今日はすぐに見つけられた。



今日は朝陽さんカウンターなんだ。




教育実習でバイトをおやすみしてたから、図書館で会うのは久しぶりな気がする…。




やっぱりかっこいい。

少し抑え気味の声で発する朝陽さんの声があたしにはよく聞こえる。




朝陽さんの声しか耳に入らない。

…病気?



朝陽さん病?




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