意地悪なキミに、スキをあげる。
あたしがここに来る一番の理由は、大好きな人に会いたいから。
久遠朝陽(くおんあさひ)さん。
近所の大学に通っている大学生。
それで…あたしが好きな人…。
「勉強すんなら席取っとけよ」
「わかってますよ!!」
社会人や学生用の勉強スペースは、夕方になるとかなり混む。
はやく席を確保しておかないと、いる場所がなくなっちゃう…。
「席あとひとつだけど」
「えっ?!」
本棚の隙間から勉強スペースを除くと、本当に空いている席がひとつしかなかった。
やばい!
席取られたら、朝陽さんに『用が無いなら帰れ』とか言われる…。
ダッシュでその席に自分の荷物を置いた。
ふぅー。
これでなんとか…勉強するとかいう口実で朝陽さんを観察できる。