キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
「余裕のフリして……本当は我慢してたんだ、ずっと」



切なく熱い眼差しで、私の胸はきゅうっと締め付けられる。

「情けないな」と嘲笑する彼に、私は首を横に振った。



「君の全部が欲しくて堪らない。僕の……僕だけのものにしたいんだ」



その言葉と耳や首筋に降りかかる吐息で、全身が熱くなった。

こんなに私を欲してくれるなんて、これ以上に嬉しいことがある?



「……もらってくれるんですか?私を」



身体を隠しているタオルを握る手の力を緩める。

そして、甘い微笑みを浮かべる彼の首に腕を回した。


私もすべてをあげるなら蘭さんがいい。

……蘭さんしか考えられない。



「大好きです、蘭さん」

「……僕も」



愛してるよ、と待ち望んでいた言葉が耳を愛撫する。

それだけで今なら死んでもいいと思えるほど、快感と幸福感で一杯になった。


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