キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
唇を離し、僅かに細められる蘭さんの瞳を見てから自分の手に目線を落とす。

それを見た瞬間、急に瞼の裏が熱くなって、せっかくの愛の証がぼやけてしまった。



窓から差し込む陽の光を浴びて輝くそれは──小振りなダイヤが散りばめられ、可愛らしい花をかたどった指輪。

これが「忘れずに持っていってほしい」ものの正体……?



「今日はこれを取りに行ってたんだよ。君が帰る前に渡したくて」

「っ……」

「帰りが遅くなるって言った日も、実は指輪を選んでたんだ。驚かせたくて勝手に選んじゃったけどごめんね」

「蘭、さん……」



あの時から、私にくれるために準備していてくれたの……?

いつの間に調べたのか、サイズもピッタリだ。もうそれだけで、胸が一杯。


ゆっくり蘭さんと向き合うと、彼はほんの少し頬を赤らめて微笑んでいた。


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