キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
そうして一日が過ぎ、夕食まで蘭さんの部屋で待っていると、帰宅した彼が私を見るなりいつもの優しい笑顔を見せてくれる。



「ただいま」

「お、かえりなさい」



夫婦のような挨拶はやっぱり気恥ずかしくて、若干ぎこちなく返した。


上着を脱いだ蘭さんは、少し疲れた様子でネクタイを緩める。

その気怠げな仕草も、なんだか色気を感じるのだけれど。



「……お疲れですね」



無意識にそんな言葉が口をついて出ると、ソファーに座った蘭さんは苦笑を浮かべる。



「ちょっと最近忙しくてね。もしかしたら明日は遅くなるかもしれない」

「そうですか……」



じゃあ、あんまり時間がないんだ……。
せっかくたくさん話をしたいなと思ったのに。


少し残念な気持ちで目を伏せると、蘭さんが私の顔を覗き込むようにして言う。



「寂しい?」

「っ……」

「そりゃそうだよな。家族もいない、慣れない所に一人でいるんだから」


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