キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
……うん、寂しい。

蘭さんが言うことも、もちろんその原因ではあるけど、でも──…



「蘭さんがいれば、寂しくないです」



それは本当の気持ちだから、何の躊躇いもなく口からこぼれた。


一瞬驚いたように目を丸くした蘭さんだけれど、すぐに表情を和らげる。

それがなんだか嬉しそうに見えたのは、私の気のせいかな?



「……こっちにおいで」



蘭さんは自分が座る隣のスペースをぽんと叩いて私を呼ぶ。

少し緊張しながら、言われた通り彼の隣に遠慮がちに腰を下ろした。


するとそっと手を握られ、心臓がドキンと跳ねる。



「僕がずっと手を握っててあげたいな。君が寂しくないように」



──そんなふうに、蜂蜜みたいに甘くとろけるような言葉と笑顔をかけられて、ときめかない人がいるだろうか。


この瞬間、私のハートは彼に持っていかれてしまったような気がした。


< 10 / 69 >

この作品をシェア

pagetop