XXnoKids
会話のキャッチボールが一段落すると陽子は、今の仕事の愚痴をいつものように気持ちが良さそうに話だした。

それについて共感したフリをしたり頷き。

時には、わかったようなしびれる偉人の気の利いた名言を添えて返しながら、いつものように吐き出すだけ吐き出させることに集中した。

俺はノミとカナヅチをもってクルクルとまわるいびつな形をしたハートに注目する。

ハートの割れ目に沿ってノミを打ち込む。

ボロボロとこぼれる。

打ち込む。

ボロボロとこぼれる。

へとへとである。

しかし陽子には自分ばっかりしゃべってゴメンナサイというのはないのだろうか?

次から次へと愚痴が溢れ出していく。

相当ため込んでいたのか、無尽蔵に溢れ出すか、そのどちらでも構いやしない。興奮して声が大きくなり、早口になるのも、なんだかうらやましいなぁと眺める。

まあ、全部知ってて、思いつきを適当にしゃべれるというのが、今は俺だなんだろうなぁ。

そういう流れなら、しかたがないかと「へー、そうなんだ、大変だね」とか言う。

< 45 / 88 >

この作品をシェア

pagetop