小春日和
 

昼飯の様子が気になり、午前中は組の仕事をしていても、ソワソワと落ち着かない俺は、佐武さんにど突かれた。



そんな俺の心配をよそに、午後一で焔虎のメンバーから送られてきた報告メールのタイトルは《完食されました》。



添付されてきた動画を再生すれば、そこには弁当箱のフタを開けると同時に、『ふわぁっ』という歓声を上げ、目をキラキラと輝かせる姐さんの姿があった。



台所で待ちかねている岩城さんに、早速その様子を報告すれば、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべて「当然だろ」と言うと、ぶっとい腕でガツンと後頭部を叩かれた。



痛みでその場にうずくまる俺を余所に岩城さんは、「明日はどれにすっかな」とご機嫌で件の本をめくり始めた。






その日の迎えの車中。



釈然としなかった俺の気持ちは霧散した。



車に乗り込み組長の姿を見つけるなり、姐さんは頬を上気させ、その胸に飛び込んだ。



『猛さん、今日のお弁当、凄かったの!』



「んん?」



『あのね、ご飯がパンダで、ウズラのニワトリさんに、ウインナーがカニさんだったの』


 

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