大好きで大嫌い 《完》

*side kasumi

♡SIDE KASUMI♡



あーあ。


諦めるって決めたのにな。


意思弱すぎるでしょ私。


トボトボと歩く。


「ーーみ!霞!」


振り向くと愁ちゃんが走ってきた。


「着いて来ないで」


「はぁ?」


「なんで?
坂本先輩と一緒にいたんでしょ?」


「いや、違ー」


「いいよ、私、
愁ちゃんの事を諦めるから・・・」


次々と思ってもいない事が口から出てくる。


もう、いや。


ここに居たくない。


私は逃げようとした。


腕を掴まれる。


「何?私なんかやめとけって言ったクセに。」


涙がポロポロ溢れ出てくる。


「それは・・」


「帰る。
聞きたくない。」


手を振るほどく。


すると後ろから抱きしめられた。


「は、離してよっ」


「離さない。」


「いや、離して。
そんな期待させるような事言わないでよ。」


「イヤだ。離さない。絶対に!」


「なんで・・・
諦められなくなっちゃうじゃん・・」


「諦めななくていい。」


「え。」


「だって、俺、霞が好きだから。」


「愁ちゃん・・?」


「だから何回も言わせるな。
俺はー。」


「愁ちゃん。
私もね・・愁ちゃんの事が好きなの・・」


「ああ、知ってる。」


「知ってる?」


「うん、だってこの間お前寝言で言ってたし。」


「う、嘘・・」


「ほーんと。」


「それに。聞くなら最後まで聞け。」


「最後まで?」


ーーーーあの時、


「やめとけ」


「えーなんでさ。」


「いいからアイツだけはやめとけ。」


「でもー、」


「でもじゃねー、あいつは俺が誰よりも惚れてる女だ。
そう簡単に取られてたまるか。」


「あはははは、
やっと愁の好きな子聞けたー。
もー愁ちゃん可愛い。
霞ちゃんにベタ惚れですなー」


「てめぇ。」


「まーまー、でもみんなにバレバレだよ?」


「嘘、」


「ほーんと、廊下通る度目で追ってるし。
男が霞ちゃんを呼び出す時すごい不機嫌になるし。
見てればわかるよ?
まーでも分かってないのは、霞ちゃん位かな?」


ーーーーーー


「そ、そんな事が・・」


「ああー。」


「じゃ、じゃー。」


「あ?」


「その・・坂本先輩は?」


「あー、あれか。偶然会った。」


「偶然?」


「ん。それにあいつ彼氏いるし。」


「そうなの?」


恥ずかしさで顔が赤くなり俯く。


「霞?」


優しく呼ばれる。


顔を上げた瞬間、腕を引っ張られ抱き寄せられる。


「しゅ、愁ちゃん?」


「んー?霞可愛い。」


「え?」


愁ちゃんの腕の中ですっぽりと収まる私。


愁ちゃんの温もり。


落ち着くなー。


「霞?こっち向いて?」


腕の力が緩み愁ちゃんを見上げる。


「何?」

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