大好きで大嫌い 《完》

*side shu

♡SIDE SHU♡



なんだよそれ・・


諦めるって・・


急になんだよ


意味わかんね。


イライラする


なんで俺は素直に霞が好きって言えないんだ。


小林に抱かれてるのを見ても俺は飛び出す勇気出なかった。


情けねえな俺。


俺はその日一人で帰ってると思い出した。


五月は霞の誕生日だって事を。


わざわざ出るのも面倒だし。


まだ二月だけどいいか。


どたんばになって考えるのもイヤだからな。


何がいいかな・・・


この間霞と入ったお店に入る。


すると、あげたネックレスとお揃いのピアスがあった。


そういえばアイツ最近耳開けたな。


ん、これにしよう。


可愛くラッピングしてもらった。


ピンクのハート形の箱に白のレースのリボン。


アイツこういうの好きだからな・・


箱を持って帰ろうとすると


「有村くん!」


後ろから声をかけられた。


そこに立っていたのは、クラスが一緒の女友達、


「あー、坂本。」


「どうしたの?
それ?」


箱を指差す。


「別に。」


「別にって、
霞ちゃんのでしょ?」


ニヤニヤと笑う坂本。


こいつはいつも俺の事を面白がってる。


俺が霞の事が好きなのを知ってる。


「そんな事より、
お前彼氏はいいのかよ。」


一応彼氏はいるみたいだ。


「うん、今日翔ちゃんバイトだから、
それに有村の事は心配ないみたい。」


「そ。」


「てかさー、元気ないじゃん?
どした。」


バシバシと俺の背中を叩く。


「諦めるんだと。」


こいつだと素直に全部言える。


「ええええー。
嘘。なんで?!」


うるせー。


リアクションが一々うるさいやつ。


「知らね。」


「もー有村が素直じゃないからでしょ。」


「・・」


「あ、それとも、冷たいからかな?」


うーんと考える坂本。


どれも俺に当てはまるから何も言えない。


「さっさと好きって言いなさい。
でないと、誰かに持ってかれるよ?」


頭の中に小林が過る。


「分かってる。」


「どーだか。」


いつもくだらない事を言ってる坂本だが今回はこいつが正しい・・


すると坂本が急に立ち止まった。


「あ・・霞ちゃん・・」


は?


坂本の向いてる方を見る。


「愁ちゃん・・・」


今にも泣きそうな霞がいる。


「霞・・」


「ごめん、邪魔したね。」


そう言って足早に去る。


俺は追いかけることが出来なかった。


「ちょっと有村。
追いかけなさいよ。
見失っちゃうじゃない。」


焦る坂本。


「いいよ。」


「はー?!
何がいいのよ?」


「だって、諦めるって言われたし。」


「バッカじゃないの?」


「いってー。」


殴られた。


しかもグーで。


「ウジウジ、女々しい。
さっさと追っかけなさいよ。
後悔したら遅いんだからね。」


「わ、分かった。」


「ほらほら、早く早く。」


俺は走り出す。


「ありがとな坂本。」


後ろ向いて叫ぶ。


ピースサインが帰って来る。


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