大好きで大嫌い 《完》

*side shu

♡SIDE SHU♡



遅い。


霞のやつ。


どこだよ。


「こら、愁眉間にしわ寄ってるよ。」


「うるせー」


「あ、もしかして霞ちゃんが来ないから?」


ニヤニヤ笑う弘。


「ああ。」


「もー、愁は心配性だな。
霞ちゃんだって子供じゃないんだからいいじゃん?」


分かってる。


でも、あいつが遅い時は大体告白されてるかなんかだ。


「てか、弘。
お前その霞ちゃんってやめー」


「あ!!
霞ちゃん来たよ!」


言ってるそばから。


って、霞?


「ゴメン、愁ちゃん。
遅くなって。」


息を切らして歩いてくる。


「別に。」


「う、うん。
じゃ、食べよっか?」


ギクシャクしてる。


二人で食べてる間も霞が大抵話す。


「ねー霞ちゃん。
その卵焼き美味しそうだね?」


弘が割り込んできて霞が箸で持っていた卵焼きを指差す。


「あ、いります?」


「え、いいの?
欲しい欲しい。」


そう言うと霞の箸をくわえる。


「あ、」


びっくりしてる。


「弘・・・てめー。」


ケケと笑って走り去って行く。


「あははびっくりしたー。
川村先輩お箸から直接食べると思わなかったもん。」


幾ら弘でも今のは許さん。


不機嫌になる俺。


それに気付きオドオドする霞。


そのお昼は何となく気まずくなって終わった。


自分で自分に呆れる。


俺ってどこまで嫉妬深くて素直じゃないんだ・・


ーーーーー


「霞、帰るぞ」


「あ、うん。」


霞の教室まで迎えに行く。


せっせと鞄に教科書をしまい帰り支度する。


「はい、愁ちゃん行こ?」


廊下を歩いてると小林とすれちがった。


「良かったですね、霞ちゃんと上手く行ったようで。」


ボソッと言われる。


急いで振り向くが小林はスタスタと行ってしまった。


嫌な奴。


「ねー愁ちゃん?」


「ん」


「・・・やっぱなんでもない。」


なんでもないなら言うな。


「お、送ってくれてありがとう。」


「別に、家がすぐ近くだし。」


「そっか、そうだよね。」


寂しそうに笑う霞。


なんだ。


キスをしようとしたけど交わされた。


「えっと、じゃあね。
また明日。」


逃げるかのように家に入って行く。


変なやつ。

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