空のこぼれた先に

「……っ!!」

だけど、俺の指先が微かに令嬢の顔を隠すフードに触れた瞬間、それまで逃げようとはしなかった彼女が、俺の手を強く振り払った。

パシッ、という肌がぶつかる音がして、令嬢はハッとしたように口元に手を当てる。


「っ、あ、ごめんなさ」

「いや。……悪い。驚いたよな」


反射的に叩いてしまったことを謝ろうとする令嬢の言葉を遮り、俺は苦笑を零した。

彼女が顔を隠すことに頑ななまでにこだわっていることは、気付いていたのに。

何か理由があるのだろうから、俺の方からフードをとることを強要するつもりはなかった。


……なのに。

どうしてかさっきは、そんな考えがすっかり頭から消え去っていた。

彼女の言葉を、彼女の目を見て聞きたいと思ってしまったんだ。

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