【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「抜かせんし!」



行雲先輩に追い付いたのは一年生の町屋。



「残念!チビはチビでも、うちにはもっと早いチビがおるけんな!」



俊敏性の高い町屋をものともせず冷静に抜いた行雲先輩は、そのままゴール下に向かってジャンプ。



「悪いけど、オールラウンダーは高森だけやないぞ!」



「!!!」



入ると思ったショットだったが、それはセンターの三浦が弾く。なんて跳躍力。



「一回外しても取り返す!」



しかし、それを越える跳躍力と運動量の持ち主、行雲先輩。



空中のボールを奪い返し、フリースローラインの秀吉キャプテンへボールを戻す。



ヒュン、と繊細な指先で秀吉キャプテンがボールを放てば、まるで吸い込まれるようにボールが通る。



「よっし!ディフェンス一本!」



行雲先輩は俺みたいに頭を回転させながら戦うタイプとは真逆の、動物的身体能力で何事も判断する選手。



スゲーのなんの。ただ美しいだけじゃないのよ、うちのお姫様は。
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