【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「よぉし!まず一本慎重に!」



すぐにボールをドリブルし、左手を掲げると、全体に向けるように叫ぶ。



キュル、とフロアから踵を離し、ゴールに向かって走り出すと、様子見と言わんばかりにマンツーマンディフェンスでついてくる相手。



「まずは小鳥遊君がどぎゃんプレイばするか見してもらうばい!」



柏原が不敵に笑い、体を壁にする。



「悪いけど、あくまで俺は立役者だから」



相手がオールラウンダーなの分かってて挑むほど、度肝を抜くような実力もないし。



なんて思いながらも、口に出す前にボールを斜め左後方、ピカ先輩へ送る。



「…賢明な判断や。(チッ、昨日話したときはすぐキレたとに、試合中は冷静やな)」



「そりゃどーも」



昨日からホント、わざとなのか何なのか分かんないけどムカつく奴。けど、挑発に乗ったら負けだ。



それに、いくら相手が上手のチームでも、ピカ先輩をマンツーマンで止めるなんてまず高校生には出来ないよ。



ピカ先輩は小さな体を翻し、『オフェンスの妖精』と呼ばれる由縁を見せ付けるようにその人間離れした跳躍力でワンハンドダンクをかます。



ガシャァァァン!!



派手な音を立ててボールを叩き込めば、沸き上がる水高サイドの応援。



「ゼッコーチョー!」



「ナイスピカ先輩!」



ハイタッチをして、次のディフェンスにすぐ走る。



あーもー、序盤から、流石ピカ先輩。
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