【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「小鳥遊君の言う通りたい。…ポイントガードってポジションなんやけどね、適任がおらん。司令塔が育たんけん、うちは、県ベスト4止まりんまま」



「フーン…そうなんすねぇ」



どんなに凄い選手がいても、使う人がいなければ、それは輝かない。



バスケって、チェスみたいなんだな。




「でね、私はキミの昨日のアレば見て、ピンと来たとよ!あいつらを使うんはキミ!…小鳥遊君バスケ、やろーよ!」



由貴先輩は俺に向き合う。その目は真剣で、冗談とは思えない。



「…だが断る!」



「えっ!?嘘でしょ何で!」



何でってだって………ねぇ?



「俺、おやつ作りと手芸と裁縫が好きなんす。インドア男子。痛いのとか無理ぽー」



それだけ言うと、俺はひょいっとその場を立ち去る。



ホント痛いのはマジ勘弁。それに、親父との1on1で、あのボールを使うのも、体力付けるのも、充分満足。



「あ…諦めない!」



とっとと退散する俺の後ろで、由貴先輩がメラメラしてるのには気付いていたけど、おっかないので振り返らないことにした。
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