【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「ピカ先輩!あんたに賭けるっ!」



「おう!絶対決めちゃるけんね!!」



ピカ先輩が極限まで引き上げたスピードでコートを駆ける。



俺達の希望を乗せて、小さな体が踊るようにゴール下を舞う。



「兄貴ィィ!!」



そんなピカ先輩についたのは、御劔歩。



御劔兄弟対決に、会場がここ一番の盛り上がりを見せた。



「あんたを倒して、俺はもっと上へ行く!」



「ふーん、いいよ、勝ってごらん!」



ピカ先輩はボールを股下にハンドリングさせ、そのタイミングで他の選手が別の場所に散る。



「………っても、抜いたら、作戦通りなんやろ?」



「!!!(あの兄貴が、俺との1on1を避ける、やと!?)」



うちのオフェンスの妖精により、強気にオフェンスに出ると読んだ荒商監督が、指示を信じた選手が、度肝を抜かされる。



バスケ選手にしては小さな掌に吸い付いていたそのボールは、ノーマークの俺の手の中に、ふわりと舞い戻ってくる。



「俺に勝てば試合に勝てると思っとるなら、いつまでもその先は見えんばい。だってバスケはさぁ、皆で出来るけん楽しかもんやろ!」



「椿ィ!決めろ!!お前の手で!」



もう、音も、声も、視界も、何もかもが麻痺して、それでも体と感覚だけが、ざわざわと俺を駆り立てる。
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