【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
ピカ先輩の県大会まで苦手だった複数のフェイクを加えたオフェンスが、相手フォワードから繰り出される。



しかし、ピカ先輩は見ない。ボールと、相手のボールを触る、その手以外。



そして、ドリブルを左手から右手に打ち変えるタイミングを見計らい、まるでその勢いを往なすように、ボールを奪い取る。



「なっ…………!(なんだ今の!)」



相手が驚いている間に、ピカ先輩は再び風よりも早く駆け巡り、目で追うのも億劫なほどの速さで、ゴールリングへボールを放る。



水高93-52花江



オフェンスの妖精は、最早誰にも止められない。



「どひゃー、なんか、雑誌通りのワンマンチームやと思わるーようなプレイばいたー」



「いやぁ、勝てるなら、もうワンマンチームでも何でもいいんじゃね?」



最終局番に入っても最初と変わらない余裕な笑顔の有ちん先輩が、気が抜けるようにへらへらと笑うもんだから、俺もつられて笑ってしまった。
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