【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
フードコートの外に出て槐に掛け直すと、ワンコールで通話になる。



「もしも…《あんさん達が泊まってるホテルん外にいますさかいおこしやす!》



え…確かに泊まるとこ一応教えたけどさ、来ちゃったの?ダメじゃん!



時間は19時45分。出歩くには大丈夫な時間ではあるけど。



震えた声で告げた槐の通話は切らないままホテルの外に出ると、言葉通り、スマホを握り締めた槐が待っていた。



…………しかも。



「ちょ…何!?何で泣いてんの!」



通話を切り槐に駆け寄ると、ポロポロ切れ長の一重から涙を流す槐に抱き着かれる。



「かいらしい椿ん顔に怪我なんて、心配で心配でいてもたってもいられおへんどしたんよ!」



「あー…観てたの?試合」



このブラコン、たったこれしきの怪我で会いに来ちゃったのか。



「明日対戦するんだから、ライバルなんだから、来ちゃダメじゃん」



「ライバルん前に、にーさんとおととではおまへんどすか!」



もー…もし両親のこととか無くて一緒に暮らしてたら、この人多分プール満杯に出来るくらい泣いてたと思うんだけど。
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