イジワルな彼の甘い罠
「出張ってこんなキツイんですね……俺初めてだったから、正直なめてました」
「別にいつもこうってわけじゃないけど……って、あれ。八代くん出張したことなかったっけ」
思い出したように言った私に、八代くんは初日と比べ疲れの見える顔で頷く。
「唯川さんは確か何度か行ってましたよね」
「うん、たまにね。それでも大体一日とか二日とかだったし、こんな激務は初めてだけど……」
椅子に座る八代くんに向かい合うように、私はベッドを椅子代わりに座りながらテーブルへ缶を置く。
「でも初めての出張なのに、よくあんなに威勢良く引き受けたね」
「あ、いやそれは……どんな感じかよく分かってなかったっていうのもあるんですけど」
『けど、』となにか言いたそうな言い方をする八代くんに、私はその先の言葉が読めず首をかしげた。
「……けど、唯川さんとだったら大丈夫だと思って」
「あはは、信頼されてるなぁ」
「っ……そうじゃなくて!」
笑った私に八代くんはそう声を大きくして、テーブルに缶を置くと真面目な顔でこちらを見た。