時を越える想い
離れゆく、想い
「別れよう。」

私の声が、震える。

漆黒の、沈黙。

その間、携帯電話から聞こえるのは、車が夜道を走る、物悲しい音だけだった。

「・・・分かった。」

聞き間違いかと、思った。

いいや、願った。

「分かった。別れよう。」

再び繰り返された言葉が、幼い願いを打ち砕く。

のろのろと、携帯電話を耳から離す。

そして、電源を落とした。

全てを、遮断したかった。
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