だんご虫ヒーロー。
「…あ、李ちゃーん!」
遠くから声が聞こえて、私と綾女は一緒に振り返る。
私と綾女に手を振ってるのは北村さんだった。
北村さんを見た瞬間、綾女は一歩後ろに下がった。
「…綾女……?」
綾女の顔は怯えているように見える。
でも綾女を心配していると、北村さんはすぐに私達のところにやって来た。
「おはよ、李ちゃんと栗丘さん!」
「…おはよう、北村さん」
「…………」
朝から眩しい北村さんの笑顔に負けないように、微笑み返す。
綾女は北村さんに挨拶せずに、ただ下を向いている。
綾女、さっきまであんなに笑顔だったのに……
急にどうしたんだろう……
隣にいる綾女の顔を覗き込むと、ふと北村さんの隣の人が視界に入った。
「…いたんですか、先輩。
いるなら何か言ってくださいよ」
北村さんの隣にいた夕里先輩を頬を膨らませて見上げる。
「…あ。おはよ、李……」
あれ、先輩もなんだか元気ない……?
それにいつもなら尾口先輩と一緒なのに、今日は珍しく北村さんと一緒だ。
家が近いからいつも一緒に来ているのかな?