だんご虫ヒーロー。



ふとベッドの上に置かれた、作りかけの綾女キーホルダーが目についた。



あとは私の買ってきた綿を入れるだけのとこまで出来上がってる。



本当に私の帰りを待ってたんだね?彼方。



私は手を伸ばして彼方の頬に優しく触れる。



「…帰ってくるの遅くなって…ごめん、ね?
綿、急いでたから……ぐすっ……買いそびれちゃったよ……」



彼方の頭を優しく撫でる。
思ってた以上に彼方の体が冷たくなっていた。



「…帰ってきたよ?……私…
…うっ……彼方の隣に…いるよ?
だから、…だから目を開けて……彼方……っ!」



やっと呼べた。彼方って。



次から次へと溢れる涙が止まらなくて、彼方の名前を呼びながら声を上げて泣く。



目を開けてよ、彼方。



その綺麗な瞳で私を見てよ。



「…彼方……!彼方……っ、……かな、た……」



数え切れないほどに彼方の名前を呼んだ。



目を開けて欲しくて、私の名前を呼んで欲しくて。



それなのに何回呼んでも、彼方の目は開かない。



こんなに名前を呼んでるのに……どうして……



もう遠くに行ってしまったの……?


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