だんご虫ヒーロー。
体が固まって前に進めない。
あまりにも綺麗な女性が笑顔で立っていたから。
ゴム手袋をしてスコップを持っているから、きっと花園の手入れをしていたんだろう。
家政婦さんじゃないよな……
「…あのもしかして李のお母様……ですか?」
茶髪に金髪のメッシュが所々に入っていて、ウェーブがかかってる。
女性ははいと返事をする代わりにニコッと笑った。
笑った顔が若干、李に似ている気がした。
「…そういうあなたは……李のお友達かしら?」
あまりにも綺麗な顔立ちに、声が出ない。
だから李のお母さんの問いにも頷くことでしか返事が出来ない。
この人が李のお母さんじゃなかったら、きっと一目惚れしてた。
俺が女性の前で緊張するのは李以外に初めてだ。
俺が頷くと李のお母さんの表情がパアッと明るくなった。
「…まぁ!じゃあ、李に会いに来てくれたのね!嬉しいわ」
小首を傾げて完璧な笑顔を俺に向ける。
でも次にはその笑顔が曇った。