だんご虫ヒーロー。

本当の気持ち




チュンチュンと雀のさえずりが聞こえる。



……あれ、朝になってる?



いつの間に寝たんだろう。



あ、そうだ。
先輩に助けてもらって安心したら眠くなって、寝ちゃったんだ……



こんなにぐっすり寝たの久しぶりだ。



「………ん…」



温もりを感じて目を開けると、目の前の出来事に目が覚める。



わ!せ、せ、せ、先輩!?



見上げると先輩が私を抱き締めてスヤスヤ眠っている。



私は先輩の胸に顔を埋めて寝てたってこと?



段々顔が熱くなる。



離れようと先輩の胸を押すと、逆に引き寄せられた。



「…起きてたんですか、先輩」


「……うん。おはよ、李」



朝から完璧な笑顔を見せる、先輩。



眩しい笑顔にこっちが恥ずかしくなって下を向く。



すると私の額に温かいものが触れた。



え、今のって……



先輩を見上げようとしても、その温かいものがずっと触れているから上を向けない。



もしかして先輩の唇?



予想が当たった瞬間、頭から煙が出そうなくらいに熱くなり、慌てて飛び起きる。


< 315 / 554 >

この作品をシェア

pagetop