だんご虫ヒーロー。



決意を決めて先輩を真っ直ぐに見つめる。
先輩は少し目を見開いて私を見ている。



「…先輩、私は約束を破って前に進もうと思います。
彼方に見られても恥じないように、ちゃんと上を向いて歩きます。


でも私はまだ1人で歩くには不十分で、よく傷ついて躓(つまず)きます。
きっとゆっくりでしか進めません。


それでも私の傍にいてくれますか?」



最後は笑顔で。
涙はもう殻の中に置いてきたから。



先輩はしばらくポカンと口を開けていたけど、それから微笑んで私をギュッと抱き締めた。



「…もちろん。
李となら、ゆっくりでも傍にいるよ」



先輩の抱き締める腕に力が込められた。




私も先輩にしがみつくようにして、先輩の背中に腕を回す。



先輩。私、絶対に先輩から離れませんから。



だから先輩も私から絶対に離れないでくださいね?



私はまだ殻から出てきたばかりで、1人では迷子になってしまうから。



先輩に支えられて、私は真っ直ぐ歩けるんです。



だからこの腕を絶対に離さないでください。



そして傍で前に進む私の姿、見守っていてくださいね?


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