だんご虫ヒーロー。
私が頭の中で考えている間に、先輩達は話を進めていた。
「りかちん、栗丘綾女全部チクったんだよね〜?だったらあいつの過去、屋上からばら撒くの〜?」
「あぁ、そうだな。
でもばら撒くだけじゃツマんないから、校舎中にも貼り付けるか」
「…ふっ、それはまた面白そうだわ」
私に聞こえないように小声で話す様子もなく、先輩達は普通の声量で楽しそうに話してる。
やっぱりばら撒く気だったんだ……
どうしてそんなことするんだろう。
綾女の過去をばら撒いて、誰か幸せになる人なんているの?
「……どうしてそんな悪いことを自らやろうとするんですか?」
「……あ?」
私の小声を聞き取った武井先輩が、眉間にシワを寄せて睨んできた。
「…先輩方はどうしてやってはいけないようなことを平気で、拒まずにやろうとするんですか?
あなた達の行動で、綾女は思い出したくないことを思い出して恐怖に怯えたんですよ!?
なんで誰かを簡単に傷つけられるんですか!?」
言えば言うほど段々口調が強めになって、気付けば声を荒げていた。
武井先輩は私を睨んだまま腕を組んだ。