だんご虫ヒーロー。
「…さっきは変なところを見せてしまって申し訳なかった。
私が李の父親の篠山 薫(ささやま かおる)です。
そしてさっきの女の格好したのも私なんだ」
ニコッと笑った表情はさっきのお母さんと同じ表情。
ただ一つ違うとしたら性別ぐらい。
「…え、じゃあ薫さんはオネ……」
「…オネェではない。それだけは胸を張って言えるよ」
夕里の言いたいことを先回りしてお父さんは訂正した。
別に胸を張ってオネェじゃないって言わなくてもいいと思うけど。
「あ、でも女装するようになってからはそういう系のスナックを開いたんだ。
夕里くんも良かったら来てね?」
お父さんは名刺入れから名刺を出して、夕里のいるテーブルに置いた。
「お父さん!夕里が行くわけないでしょ!?」
テーブルから少し身を乗り出して、すぐにお父さんが出した名刺を取り上げた。
お父さんはアハハと呑気に笑っている。
そしてお父さんは真剣だけど優しいいつもの顔つきに戻った。
「…私が女装をするようになったのは、妻の英玲奈(えれな)が死んでからなんだ。
さっき仏壇に写真があっただろ?あれが李の母親の英玲奈」
夕里は真剣な表情でお父さんを見つめて、話を聞いている。