だんご虫ヒーロー。



「…夕里のこと嫌いになんかなってないよ?
むしろ夕里のことを知る度に好きになってるよ。

夕里は何も嫌なこと言ってないよ?
だから、謝る必要なんてないんだよ」



私が『もし夕里が北村さんを選んだら、身を引く』って言ったのはね?



「……夕里を信じてるから。
私との約束を果たしてくれるって信じてるから、あんなこと言ったんだよ。

だから夕里も私を信じて?」



私が笑顔を見せれば、夕里は表情が明るくなって私を思いっきり抱き締めた。



「すもも……っ!李……!李っ!!」



上手く言葉に出来ないのか、夕里は私の名前を連呼してる。



それに応えるように、夕里の後頭部に腕を回して抱き締め返す。



夕里を信じてなかったら、あんなこと言わないんだよ?



きっと『北村さんでも夕里は渡さない!』って言ってた。



でももう安心したよ。



だって私のことを涙目になりながら必死に止めようとして、真意を知ったら泣き笑いしながら喜んでくれてる。



だから大丈夫。



私が宙に浮いてしまうほど、夕里は強く抱き締めてきた。



しばらく私と夕里は再会を喜ぶように、抱き締めたままでいた。


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