だんご虫ヒーロー。
「その時はもちろん李ちゃんを妬んだ。
あたしの方がずっと夕里の近くにいて、誰よりも夕里のこと知ってるのにどうしてって。
でもそんなの関係なかったんだね。
一緒にいた時間とか、知ってることが多いからって関係ない。
大事なのは夕里が好きっていう気持ち。
ただ真っ直ぐに夕里が好きってことが大事なんだって思い知らされた」
北村さんの目には涙が溜まってる。
でも北村さんは我慢して笑顔で夕里を見つめてる。
「あたしにはその気持ちが足りなかった。
とにかく夕里を自分のものにってことばっかで、夕里への気持ちは二の次だった。
李ちゃんは真っ直ぐに夕里が好きって伝えて、夕里にぶつかっていった。
卑怯な手を使ってるあたしなんか、最初から李ちゃんに敵うわけなかった」
ポロポロと北村さんの目から流れる涙。
北村さんが手で拭っても、止まることのない涙。
夕里は北村さんが言い終わるのを堪えているのか、ギュッと手を握ってる。
「…あたしが卑怯な手を使ったせいで、夕里もたくさん傷つけたね……
ごめんなさい。本当にごめ…………」
北村さんの言葉を遮るように、夕里は人差し指を北村さんの口に当てていた。