だんご虫ヒーロー。
「…それでも諦めきれなかったから、お父さんに相談した。
そしたらお父さんもあの母親に不満を持ってたみたいで、すぐ離婚が決まった。
お父さんが離婚話を持ちかけた時のあいつの顔は最高だった。
ざまあみろって思った」
紗奈は自分の足元を見つめている。
離婚してくれて良かったのかと思ったら、まだ表情が曇ってる。
「…離婚したのは良かったのにさ、お父さんまた新しい婚約者連れてきたの。
6ヶ月後には再々婚するんだって。
いい年の親父が豪華な式まで挙げるとか言い出して、もう呆れた」
紗奈のお父さんが再々婚……
それはまた紗奈に血の繋がってない母親が出来るということ。
「…新しい母親はお父さんよりもかなり年下で若かった。
あいつよりも断然明るくて、あたしのことちゃんと娘として見てくれた。
でもあたしはもううんざり。
また違う、血の繋がってない母親と暮らすなんて無理だと思った。
だから1人暮らしをしようとお父さんに言ったら揉めて……」
紗奈が私と夕里を呼び出した時、揉めちゃってと言ってた。
あの時揉めてたのはこのことだったんだ。
1人暮らしをしようと父親と揉めてたんだ。