侍先生!
「お前さ、文化祭の劇が終わったあと、俺と周る気はないか?」


「へ?」


しばしフリーズ。
なにを言われたのか頭の中で30回くらいリピートした。


「ワワワワワ…ワタシトデスカ?」


「なんでカタコトだよ。 お前とだよ」


「イインデスカ?」


「だから言ってんだろ」


ま、まじですか…。


「ありがとうございます…嬉しいです…」


「…素直だな」


私は嬉しさのあまり、手がプルプル震えていた。


先生と、文化祭一緒に周れる!!
私は、飛び跳ねたいくらい嬉しかった。


「見回り、一人でするのも退屈だからな」


…そうですか。


「お前だったら暇そうだと思って」


…そうですか。


暇だと思うなら、誰かと周るかなんて聞くか?いや、そこは聞くか。


「楽しみにしてる。 劇もだけど」


先生はそう言って教室に戻っていった。


…劇…“も”?劇は、二の次?
何が一番楽しみなんだろう?


私と一緒に周る事が楽しみだったらいいな、なんて期待してしまった。
なんて自意識過剰なんだろう。
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