侍先生！
文化祭前夜。


２０時くらいまで学校にいて、そこから家でも台本に目を通す。
ご飯食べてても、お風呂入ってても、髪の毛をかわかしてる途中でも。


「寺を攻めるなど聞いた事もございません！」


台本のセリフを声に出して読んでいた。


う～ん…やっぱ緊張するなあ。
この緊張は、劇の主演に対してなのか、先生と周る事に対してなのかは、自分でも分からなかった。



文化祭当日。
始まるのは１０時からで、１１時から３０分の間うちのクラスが劇をする。


終わったらちょうどお腹が空く頃だなあ、と思いつつ、衣装に袖を通す。
といっても、舞台の部品も、衣装も演劇部からかりたものなので、余計なお金は使っていない。


「これでうちのクラスが劇部門で優勝すれば、今日の飲み会の代金、ただになるから頑張れよ」


と、先生の声。


「先生、そういうのは生徒に話すべきではないと思います～」


と、振り返って先生を見る。


…先生、着物着てる。


「なんだ？」


「え？　いや…かっこいいです、先生」


「そうか？」


「織田信長っぽいです！　いいです！先生！」


「そうかそうか」


先生は大きく口を開けて笑った。
< 138 / 226 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop