侍先生!
すると、どこからか、音楽が鳴った。
先生は自分のポケットから携帯を出した。


先生はちょっと困った顔をして、私と明石焼きくんを見た。


「いいですよ、出てください」


私がそう言うと、先生は、『ごめん』と言って通話キーを押した。


「…もしもし? …今日は、課外授業だって言っただろ?」


先生の顔つきがちょっと変わる。


私が小指を立てて、“彼女ですか?”というジェスチャーをすると、先生は頷いた。


先生の携帯電話からは、女の人の声が漏れてくる。


ちょっとかん高い声で。


スピーカーでもないのに聞こえるから、…もしかして、怒ってるのかな?


「終わったらまた電話するから、じゃあな」


そう言って先生は電話を切った。


「いいんですか?」


と私が聞くと、先生は苦い顔をした。


「彼女とデートの約束してたんですか?」


「いや、そうゆう訳じゃないんだけど…最近忙しくて会ってなかったから」


彼女さん、先生となかなか会えないんだ。


「じゃあ、ここに呼んだらいいじゃないですか」


「はっ!?」


先生は、眉間と額にシワをよせた。


…なんか不味い事行っちゃった?
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