侍先生!
「分かるよ。 ずっと見てたもん」


「ずっとって?」


「俺、姫条さんの事、好きだもん」


「え!? …いや、あの…私達、名前も知らないし」


「そうか…。 …ってえええ!? ここで忘れるのー!? ものすごい頑張ったよね! 俺!! しかも、“私達”って! 初対面みたいな言い方! 俺は知ってるし!」


「ごめんなさい、名無しくん」


「明石だってば!!」


明石焼きくんは、ゼーハーと、息切れをしていた。


「明石くん、ごめん。 私…」


「先生が好きなんでしょ? いいよ、返事は分かってるから。 …やっと普通に名前呼んでくれたね。 それで満足だよ」


明石くんは、ニコリと笑って、先を歩いた。


「待って、明石焼きくん」


「…もう戻ってるし」


明石焼きくんに送ってもらって、家に着いた。
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