侍先生!
それからというもの、病んでる暇は無かった。


体育祭の準備で忙しくて。
…いや、無理に忙しくしていたのかもしれない。


忙しくしていたほうが、気が紛れた。


姫条は、安土城の為に、優勝すると意気込んでた。


顔色悪かったけど…気のせいか?


100メートル走では、織田信長年表を叫びながら走るし…。


でも、大玉転がしの種目の時、明らかに様子がおかしかった。


もっと早く気付くべきだった。
姫条は、大玉転がしの競技の最中に、倒れた。



「姫条!」


俺は叫んで、姫条のもとに走った。


…だけど。


「おい、大丈夫か?」


俺よりも先に、姫条に駆け寄った、男子生徒。隣のクラスの、森本だった。


森本は、姫条を素早く担いで保健室に向かった。


その時、俺の胸で、針が刺さるような痛みが走った。
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