恋花火 ~恋は甘く切ない~


きっと、数え切れないほどだろう。


でもね、同じくらいあたしは笑ってた。


丹後くんの隣でいつもあたし、笑ってたんだよ……。


「帰って……」


もうこれ以上一緒にいたくない。


一緒にいたら……離れられなくなる。


そんなのダメだから。わかってるから。


だから、お願い。


「帰らねぇよ」


なんで?


なんで、そんなにあたしの中に入ってこようとするの……?


そんな中途半端な愛なんていらないよ……。


「お願いだから帰って……。帰ってよ!」


あたしはさっきよりも大きな声で丹後くんに告げる。


ねぇ、わかってよ。


これはあたしの最後の強がりだってこと。


「じゃあ、帰るな……。またな、妃紗」


そう言うと、丹後くんはマフラーをあたしの手から取って部屋を出て行った。


またな、ってなに?


あたし達に“また”なんてあるの?


もう丹後くんには会えないのに……。



< 437 / 474 >

この作品をシェア

pagetop