恋花火 ~恋は甘く切ない~
「はぁ……」
手紙を読んだ日から数日がたった。
バレンタインでみんなが盛り上がる中、あたしは1人、ため息をつく。
「妃紗っ!元気出しなって!」
いや、あたしは元気がないわけではない。
ただ、この先のことを考えると憂鬱になるだけだ。
「妃紗、留年したらどうしよう……。みんなと一緒に卒業できないじゃん……」
あたしは今、留年の危機と戦っていた。
約二週間後に迫った学年末テストで、赤点を1教科でも取ったら進級できない。
赤点を取らないのが普通だわって言われたらオシマイ。
それがあたしにとっては普通じゃないからだ。
「大丈夫だって!赤点さえ取らなきゃギリギリでもいいんだから」
なんて、璃香は呑気に言うけど、あたしにとってはそんな簡単なことではない。