Dear HERO[実話]

10月の初め ―――


私はこの日…

初めて龍斗が彼女を作らない理由を知る。


怪我をした時以来、2ヶ月ぶりに見る龍斗の姿。

目の傷は治り、よく見なければ傷跡も分からないほどに回復していた。


安心すると共に、この時龍斗が何を話そうとしているのか…私には全くわからないでいた。


ただ、龍斗が話す一言一言は真剣そのものだった。


数日前、私に話があると言った。

いつも冗談交じりで話すときの龍斗とは違い、落ち着いた声は何か特別な話があるのだと感じた。


その話を聞くために今ここに居る。




「真剣な話。でもな…話そうかどうか迷ってるんだよ」



話そうと思って誘ったものの、私の姿を目の前にするとその気持ちに迷いが生じてきたらしい。



「えっ…聞きたいよ…」




ためらわれると逆に聞きたくなるのが人間の心。


私が告白したとき龍斗は「付き合えない」と言った。

それには何か理由があるはず。


今から聞く話はそれに関係しているような気がした。

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