心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
変人である自覚の皆無な変人カナタは、嬉しそうに『ウィトゲンシュタインの思考と生涯』を読み始めた。






はぁ〜、カナタったら相変わらずだな。






こんなに長い間ふたりで喋ったのって、ほんと久しぶりだけど。




まったく、なーんにも変わってない。



清々しいまでの毒舌と変人ぶり。







読書しながら歩くカナタが障害物にぶつからないように腕を引っ張って操作したり、ときどきウィトゲンシュタインさんの奇行について教えてもらったり。





昔からやってきた通り、そんな風にして二人で帰り道を歩いた。






カナタは片手で本を持っていて、空いた方の手はあたしのすぐ隣をぶらぶらしてる。






………そういえば。




小さい頃、あたしたちはいっつも手をつないで歩いていた。





近所のおばちゃんたちに、「あらあら、みゆちゃんとかなたくん、あいかわらず仲良しねえ」なんてよく言われて。





カナタは「みーちゃんがつなぎたいっていうから」とか答えてた。






ま、たしかにそうだったんだけどさ。




カナタと手つないでると、変に安心したっていうか。





だってカナタって、当時からかなりの知識マニアで。



愛読書は博物図鑑。



そんなわけでまぁ、中身は大人みたいなもんだったからね。






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